2012年に出版された翻訳小説リスト、詳細版です。月ごとに出た本の簡単な内容を紹介していきます(奥付降順)。巻数物はひとつにまとめました。書影や価格などもっと詳しい情報を知りたい方はタイトルのリンク先へどうぞ。出版社のサイトが開きます。
・『ルイユから遠くはなれて』レーモン・クノー著 三ツ堀広一郎訳(水声社)
ボクシングの世界チャンピオン、ローマ教皇、盗賊団の首領、巨大シラミの研究者……ありえたかもしれない無数の人生を夢見、白昼夢にふけるジャック・ロモーヌ。ある時、故郷のルイユを飛び出し……。夢と現実が交錯する、きわめて凡庸できわめて奇想天外な冒険小説。
・『ロスト・シティ・レディオ』ダニエル・アラルコン著 藤井光訳(新潮社)
音信不通になっていた人同士の再会をお膳立てするラジオ番組に、少年がやってくる。ジャングルの村人たちから託された、行方不明者リストを握りしめて。鮮やかな語りで進む、ペルー系アメリカ人作家のデビュー長篇。
・『火焔の鎖』ジム・ケリー著 玉木亨訳(東京創元社)
27年前、米空軍の輸送機が農場に墜落した。この事故で九死に一生を得たマギーは、とっさに乗客の死んだ赤ん坊と自分の息子をすり替えていた。なぜ我が子を手放したのか? 少女の失踪や不法入国者を取材しながら真相を探るドライデンは、拷問された男の死体を見つけてしまい……。大旱魃にあえぐ沼沢地を舞台に、敏腕記者が錯綜する謎を解き明かす。CWA賞受賞作家が贈る傑作。
・『裏返しの男』フレッド・ヴァルガス著 田中千春訳(東京創元社)
アルプス山麓の村で狼の歯形の残る羊の死骸が相次いで発見された。そして喉に巨大な噛み痕のある女牧場主の死体が……。彼女は狼男の存在を主張していた。巨大狼? それとも本当に狼男なのか? カナダ人動物学者と村の住民カミーユは、事件に巻き込まれる。この事件のテレビのニュース映像に、かつての恋人カミーユの姿を見出したアダムスベルグ警視は現地に乗り込ん! 仏ミステリ界の女王の傑作。CWA賞受賞シリーズ第二弾。
・『アイアン・ハウス』ジョン・ハート著 東野さやか訳(早川書房)
孤児院アイアン・ハウスで育ったマイケルとジュリアンの兄弟。兄は殺し屋、弟は作家となり、別々の人生を歩んでいた。だが、マイケルが恋人の妊娠を期に組織を抜けようと決意したとき、孤児院時代の陰惨な過去がふたたび兄弟の命運に暗い影を落とすのだった。兄弟の絆を感動的に描き上げる、エドガー賞二冠作家の新境地
・『パーフェクト・ハンター(上下)』トム・ウッド著 熊谷千寿訳(早川書房)
依頼どおりターゲットを殺した瞬間から、プロの暗殺者ヴィクターは、命を狙われ始めた。続々と襲い来る屈強な敵と戦いながら、彼は首謀者の正体と、その目的を探る。だが、ロシアの対外情報庁SVRも彼の追跡を開始した。世界各地を舞台に繰り広げられる壮絶きわまりない闘い。大型新人が放つ第一級の冒険小説
・『彷徨える艦隊 7 戦艦ドレッドノート』ジャック・キャンベル著 月岡小穂訳(早川書房)
甘い新婚生活も一カ月しか続かなかった。アライアンス運営委員会から二人のもとに出頭命令が届いたからだ。ナバーロ議長によって、大佐から元帥への再昇進を告げられたギアリーは、謎の異星種族探索のため、増強された艦隊を率いて、シンディック宙域の向こうにある異星人宙域をめざす! そしてその深部で……。
・『アダムス再登場』クナイフェル&ヴルチェク著 赤坂桃子訳(早川書房)
〔ローダン・シリーズ417〕嵐の夜、荒れはてたテラニア・シティを歩くひとりの男の姿があった。それは、もと太陽系帝国の経済財務相アダムスだった。地球に秩序をとりもどすため、“それ”により、コンセプトとして送りだされたのである。だが、なぜかアダムスは自分の肉体をうまくコントロールできなかった……
・『プロゴルファー リーの事件スコア2 悪夢の優勝カップ』アーロン&シャーロット・エルキンズ著 寺尾まち子訳(集英社)
賞金ランキング98位、ジリ貧生活を送る女子プロゴルファー、リー・オフステッドに信じられないことが起きていた。放つショットは全て理想的な弾道を描き、ツアー初優勝も見えてきた! と、その時。コース内で倒れていた男を助けようとしたばかりに初優勝は夢と消え、続いて毒殺事件に巻き込まれ……。試合の陰で、一体何が起きているの? ゴルフ中継の裏事情も垣間見える、エドガー賞受賞作家による好評ゴルフ・ミステリシリーズ第2弾!
・『ジーヴスとねこさらい (ウッドハウス・コレクション)』著 森村たまき訳(国書刊行会)
ウッドハウス最後の長篇小説、本邦初訳。天才執事ジーヴス最後の事件。《ジーヴス・シリーズ》全14冊、ついに完訳。
・『夢の賜物』スーザン・ソンタグ著 木幡和枝訳(河出書房新社)
20世紀アメリカを代表する知識人スーザン・ソンタグのデビュー作。あの夢は、私の初めての過激な行為だった―――ささやかな野望と、清冽な真摯さ。大反響を呼んだ日記『私は生まれなおしている』執筆時に発表された小説。シリアスな文体、キャンプな感性。
・『小説 遊牧民』イリヤス・エセンベルリン著 加藤 九祚訳(東海大学出版会)
カザフ現代文学の最高峰とされる『遊牧民』より、第一部「呪力の剣」を全訳する。帳ハン国の崩壊により、混乱を極めるキプチャク大草原の中から、遊牧国家カザフが建国されるまでの一大叙事詩。
・『水の血脈』マリーナ・フィオラート著 酒井裕美訳(ヴィレッジブックス)
17世紀、ヴェネツィアに比類なき技をもつガラス職人がいた。当時ムラーノ島で作られるガラス製品は共和国の宝であり、その製法は門外不出、ガラス職人は生涯島を出ることを許されなかった─―。現在、英国で暮らすレオノーラは離婚を機に、亡き父の故郷ヴェネツィアでガラス職人として生きることを決めた。祖先コラディーノ・マニンは今も語り継がれるムラーノ島屈指の名匠だった。その名のおかげでガラス工房に職を得るが、仕事仲間はマニンの子孫と知るや彼女を拒絶する。彼女の知らないコラディーノの秘密とは? 警官アレッサンドロと共に彼女は自分のルーツを、謎めいた祖先の過去を辿りはじめるが……。
・『真鍮の評決 上・下』マイクル・コナリー著 古沢嘉通訳(講談社)
リンカーン弁護士がボッシュ刑事と組む! あのミッキー・ハラーが帰ってきた。殺されたライバル弁護士の謎と大物プロデューサーの殺人容疑をはらすべく。ハラーにつきまとうボッシュ。その目的はなにか?
・『人生と運命 1』ワシーリー・グロスマン著 齋藤紘一訳(みすず書房)
20世紀ロシア文学の最高峰。第二次世界大戦で最大の激闘、スターリングラード攻防戦を舞台に、物理学者一家をめぐって展開する叙事詩的歴史小説(全三部)。兵士・科学者・農民・捕虜・聖職者・革命家などの架空人物、ヒトラー、スターリン、アイヒマン、独軍・赤軍の将校などの実在人物が混ざりあい、ひとつの時代が圧倒的迫力で文学世界に再現される。
・『冬の眠り』アン・マイクルズ著 黒原敏行訳(早川書房)
切り出される神殿、水に沈む町、遠い過去に失われた人々とその記憶──若い夫妻がエジプトやカナダで目にした喪失のかたちは、寄りそうふたりのあいだに静かに入り込んでくる……。『儚い光』のオレンジ賞受賞作家が十三年の沈黙を経て発表した至高の文芸長篇。
・『分子変形能力者の基地』H・G・エーヴェルス著 五十嵐洋訳(早川書房)
〔ローダン・シリーズ416〕ガヌール銀河で暗躍をつづける分子変形能力者は、青色巨星をめぐる隕石片にしか見えない作戦基地に潜んでいた。テラナーがメダイロン星系からフルクース艦隊を撤退させ、地球から小陛下を退去させたと知った分子変形能力者は、その真相を探るべく二名をテラナーのもとに潜入させるが!?
・『ラメント──妖精の騎士に捧げる哀歌──』マギー・スティーフベーター著 武富博子訳(東京創元社)
もうこんなのいや。人前で演奏しようとするたびに気分が悪くなる。コンクールでの演奏を前に緊張のあまりもどしてしまったディアドラ。彼女を助けてくれたのは、昨夜の夢に出てきた不思議な若者ルークだった。魔法にかけられたように導かれるまま舞台にあがったディアドラ。美しい容姿に謎めいた雰囲気。ルークの出現を機に彼女の周辺で不気味なことが起こり始める。アイルランドの音楽と伝承に彩られたロマンティックファンタジー。
・『贋作に明日はない』ヘイリー・リンド著 岩田佳代子訳(東京創元社)
サンフランシスコの高級画廊のオープニングで、展示品からぶら下がる作家本人の死体を見つけたアニー。彼はアニーの父母の昔馴染だった。そのころ隣の美術館では、友人がシャガールの絵画盗難の容疑をかけられていた。不審な男たちと関わる母を心配しつつ友人を助けるため絵画泥棒と取引したアニーは、上流階級のパーティに出かけるはめになる。だが、そこには数多くの巨匠の作品があった。芸術とロマンスとスリルあふれる第二作。
・『黒猫ルーイとロマンス作家の秘密』キャロル・ネルソン・ダグラス著 甲斐理恵子訳(武田ランダムハウスジャパン)
ロマンス小説愛好家の集まりで美形男性モデルが殺された! 華やかな世界にはやっぱり裏が? 米国でロングセラー、黒猫探偵のコージー・ミステリ第5弾!
・『悪い娘の悪戯』マリオ・バルガス=リョサ著 八重樫克彦・八重樫由貴子訳(作品社)
50年代ペルー、60年代パリ、70年代ロンドン、80年代マドリッド、そして東京……。世界各地の大都市を舞台に、ひとりの男がひとりの女に捧げた、40年に及ぶ濃密かつ凄絶な愛の軌跡。ノーベル文学賞受賞作家が描き出す、あまりにも壮大な恋愛小説。
・『デッド・オア・アライヴ 3 4』トム・クランシー著 田村源二訳(新潮社)
ウマイヤ革命評議会を率いる史上最強のテロリスト、アミールの目的はいったいなんなのか。核の脅威までちらつく中、伝説的なベテランたちも加わった〈ザ・キャンパス〉の精鋭は必死の情報分析を行っていた。やがて明らかになる驚愕の計画――「同時多発テロ」ならぬ「時間差頻発テロ」の恐怖とは。アミールの最終作戦は起動してしまうのか? 緊張感が極限まで高まってゆく……。
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